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香織は今、とても緊張している。
今日は、約束の5月3日で、今朝まで知らされていなかった待ち合わせ場所を聞いて、あのSNSの噂が本当の事なんじゃないかと、少しだけ思ってしまった。
本当に、少しだけ────
待ち合わせ場所に指定された場所は、よく佑真と一緒に行った公園。
その公園は、佑真が入退院を繰り返して通っていた病院の近くにあって、公園までは、最寄り駅から三十分ほど電車に揺られ、乗り換えて二駅先で降りてから、更にバスに乗り換えなければいけない。
もしも、佑真に会えるなら────
つい、そんな事を考えてしまう香織は、複雑な想いで家を出た。
そして、指定された公園に入ると、懐かしい風景が目に飛び込んでくる。
滑り台やブランコがある所から、その先の地面いっぱいに緑が広がる広場。
香織と佑真は、この広場の周りの斜面に、よく一緒に寝そべっていた。
懐かしい、この公園での出来事が次々と浮かんできて、香織の瞳には収まりきらない涙が溢れそうになっている。
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