5人が本棚に入れています
本棚に追加
涙が溢れる前に指で滴を掬い上げて、指定された広場のベンチに腰掛けた。
周りを見回してみるけど、誰も居ない。
腕時計に目線を落として時間を確認すると、午後五時五十分を回っていた。
約束の時間は六時。あと少し時間ある。
そう思って、ホッと胸を撫で下ろした時、背後から芝生を踏む足音が聞こえてきた。
分かってる。
分かってる。
そんな訳ないってことくらい───
分かってる。
だって、佑真は天国にいるんだもんね。
だから、あのSNSは今日限りで止めるね。
少し夢を見ちゃったんだ。
だから───・・
そう自分に言い聞かせて、気持ちに決着をつけようとした矢先
「─────香織?」
よく知っている声だった──・・
だって、そんな筈っ・・
言葉も出ず、身体も動かせずにいる香織を、近付いてくる人影が背後から抱き締めた。
「─────っ!?────ゆ、佑真?」
最初のコメントを投稿しよう!