巡り廻る恋心

11/22
前へ
/24ページ
次へ
涙が溢れる前に指で滴を掬い上げて、指定された広場のベンチに腰掛けた。 周りを見回してみるけど、誰も居ない。 腕時計に目線を落として時間を確認すると、午後五時五十分を回っていた。 約束の時間は六時。あと少し時間ある。 そう思って、ホッと胸を撫で下ろした時、背後から芝生を踏む足音が聞こえてきた。 分かってる。 分かってる。 そんな訳ないってことくらい─── 分かってる。 だって、佑真は天国にいるんだもんね。 だから、あのSNSは今日限りで止めるね。 少し夢を見ちゃったんだ。 だから───・・ そう自分に言い聞かせて、気持ちに決着をつけようとした矢先 「─────香織?」 よく知っている声だった──・・ だって、そんな筈っ・・ 言葉も出ず、身体も動かせずにいる香織を、近付いてくる人影が背後から抱き締めた。 「─────っ!?────ゆ、佑真?」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加