巡り廻る恋心

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遠くの方に沈みきっていない夕陽が見える。 あと少しで、完全に陽は落ちるだろう。 そろそろ暗くなり始めた公園のベンチの前に二人、向かい合って見詰めている。 「────や、約束?」 お姫様だなんて言って、手を取ってくるものだから、恥ずかしくてちょっと狼狽える香織。 だけど、そんな香織をも愛しく見詰めて微笑む佑真。 「そうだよ。香織の二十歳の誕生日の時、傍に居られたらっていうやつだよ。」 佑真は、クスリと笑うと手を取ったまま、その場に跪いた。 「俺と結婚してくれますか?」 佑真の言葉で、香織はハッと思い出した。 「────そうだったね・・そうだった。約束したよね。」 香織は、沢山流した筈の涙を、また瞳の中に溜めて頷く。 「─────はい、喜んで。」 香織の返事を聞くと、佑真は香織の左手の薬指に口付けを落とした。
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