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学校が終わって帰宅すると、香織は自室のベッドで横になりながら、スマホ画面を眺めている。
─ Rencontre ─と、表示されて“会員登録をする”という文字をタップした。
学校で教えて貰った登録方法を思い出しながら文字を打っていく。
一応、知らないSNSだし、何かあったら嫌だなと思い、アカウント名は“KAORI”にした。
登録内容は、他のSNSと然程変わりない。表示させた個人情報は、年齢だけ。自己紹介文は当たり障りのない、平凡なものだと思う。
一通り作業が終わると、香織は溜め息を吐く。
「本当に、こんなんで会えるのかな?」
ぽそりと小さく呟いて、無性に寂しくなってしまった香織。
香織は、遠い昔を思い出しているかのように遠い目で、天井を見詰める。
大分、立ち直ることが出来たけど、それでも香織にとって独りになってしまう夜だけは、こうして一人で胸を痛める毎日。
“会いたい人に会える”
なんて聞いてしまって、そんなのある訳ないって頭では分かってるのに、手を伸ばさずにはいられなかった。
そして、少しずつ冷静になってきた頃、香織のスマホからキラキラとした、通知音のような短い音が鳴った。
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