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佑真が死んでしまったのは、今から約二年前の高校の卒業式後で、佑真は生まれつき心臓が悪くて、長くは生きられないと言われていた。
それでも、幼馴染として育った香織達は、お互いに牽かれる事に抗えず、高校生になった頃、自然と付き合い始めていた。
『─────香織、好きだよ。』
今でも、鮮明に浮かぶ佑真の顔と声、体温でさえも──・・
ずっと一緒にはいられない。
分かっていた筈だった。
それでも、思う通りにならないのが人間の心だ。
もしも香織に、保育士になるという夢がなかったら、生きる意味を失ってしまっていたかもしれない。
今こそ学校では、普通に過ごせるようになったけど、佑真が逝ってしまった後の香織は、酷く塞ぎ込んでしまっていた。
香織に、この二年間で友達があまり出来なかったのは、そのせいでもある。
ずっと会いたかった人と、同姓同名の人からのメッセージ。
本人の筈がない。
分かってる。
だけど、香織のスマホには返信画面が表示されていた。
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