巡り廻る恋心

7/22
前へ
/24ページ
次へ
佑真が死んでしまったのは、今から約二年前の高校の卒業式後で、佑真は生まれつき心臓が悪くて、長くは生きられないと言われていた。 それでも、幼馴染として育った香織達は、お互いに牽かれる事に抗えず、高校生になった頃、自然と付き合い始めていた。 『─────香織、好きだよ。』 今でも、鮮明に浮かぶ佑真の顔と声、体温でさえも──・・ ずっと一緒にはいられない。 分かっていた筈だった。 それでも、思う通りにならないのが人間の心だ。 もしも香織に、保育士になるという夢がなかったら、生きる意味を失ってしまっていたかもしれない。 今こそ学校では、普通に過ごせるようになったけど、佑真が逝ってしまった後の香織は、酷く塞ぎ込んでしまっていた。 香織に、この二年間で友達があまり出来なかったのは、そのせいでもある。 ずっと会いたかった人と、同姓同名の人からのメッセージ。 本人の筈がない。 分かってる。 だけど、香織のスマホには返信画面が表示されていた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加