第1話

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ずっと好きだった。 ずっと、お前だけ見てたから分かるよ。 お前のそんな顔初めて見た。 「涼ちゃん。起きてよ。 もう、駅着いたよー。」 バシバシと俺の肩を叩いてくるのは、幼馴染の優菜。 もう、最寄りの駅に着いたらしい。 毎日、部活の練習がハードすぎて眠い。 「明日も朝練あるんでしょ? 早く家帰って寝なきゃ!」 「分かってるって。優菜は、お母さんみたいだなぁ。」 「もう、お母さんじゃないから! そんなこと言ってないで早く帰ろっ。」 最寄り駅から家までは、約30分。 下校中のこの30分が、俺は好きだ。 優菜は、歩くのが遅い上に身長も低いから 優菜に合わしていると帰るのに時間がかかる。 家帰ったら宿題や自主練に時間を取りたいので早く家に着きたいと思うのが普通だ。 でも、俺は違う。 この時間がずっと続けばいいのにさえ、思う。 俺のすぐ隣に、優菜がいる。 優菜が今日学校であったことを、楽しそうに話してくる。 その姿が、とても可愛いらしく愛おしい。 この時間は、部活で疲れた俺を、癒してくれる。 2人の家が見えてきた。 もう、家に着いてしまう。 「涼ちゃん、また明日ね。 朝練頑張ってね!」 「うん、ありがとう。 また、明日優菜。」 優菜が玄関のドアを開け、家に入っていった。 また、明日。 早く放課後になってほしいと願いながら 俺も隣の家に入った。
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