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やがてアパートに着くと、俺はやけに大人しい助手席の京を覗き込んだ。
すると、一日中緊張にさらされて疲れたのか、軽い寝息を立てていた。あどけないとも言える寝顔。
思わずキスしようとしたが、シートベルトに阻まれる。勢いよくそれを外すと、跳ね上がった金具が内装に当たり、京は目を覚ましてしまった。残念。
「ん……ごめん、寝ちゃってた。着いた?」
「ああ。眠いなら、運んでやるぞ」
「え、良いよ」
京は、俺の冗談にも、律儀に頬を染める。俺たちはワンボックスカーを降り、二人で暮らす部屋へと戻った。
「京、風呂入ろうぜ」
「……あ!」
今更だが、京が気付く。顔を真っ赤にして、
「まさか、その為に帰ってきたんじゃ……!」
「その、まさかだ。武道館でライヴだぞ、我慢出来るかよ」
「真一……そう言えば、演奏中にキスもしたろ!」
「ああ。これからもするから、慣れろ」
「君って……」
説教が始まりそうな気配に、俺は京の口を封じてしまった。今度は、俺の唇で。
この数週間で、京の『イイ』場所は全て知り尽くしている。
上顎の奥を攻めると、むずがっていた京は、途端に甘えるような呻きを鼻に抜けさせた。
執拗に舌を絡め、滑らかな京の表面をなぞり、吸い上げる。
二分もすれば、京はグッタリと体重を俺に預け、ついでに下着一枚になっていた。足元にわだかまった黒いスーツから足を抜く為に、軽く持ち上げてソファに下ろす。
俺も手早く下着一枚になり、まだトロンとした瞳の京を抱き上げて、バスルームに連れて行った。そこで下着も取ってしまうと、京は微かに恥じらいを見せて太股を擦り合わせた。
口付けだけで、京の分身はもう、弾けそうなほど脈打っていた。
「や……見ないで」
「今更だな、京。もうお前の身体は、奥の奥まで知ってる」
京も口では拒んだが、ライヴの高揚感に身体が反応していた。それを見て、俺もまた昂る。
バスタブに湯を張りながら、溜まるのを待たずに京を抱えて中へ入る。向かい合ってバスタブに浸かると、互いのものが浅い湯の中でゆらゆらと揺れて触れ合い、背筋がヒヤリとするような快感をよんだ。
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