第56話 溺れる愛

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 過ぎる快感に、京は大粒の涙を流して端正な顔を歪ませていた。本来白い身体は、湯に浸かったせいでなく、全身がピンク色に上気している。  充分にそこを解すと、俺は京から快感のリングを引き抜いた。小さな悲鳴が上がる。 「京……」  俺は、ツンと尖った胸の色付きを悪戯に食む。すると京は、嫌々と僅かに首を振って嗚咽を漏らした。 「しんい、ち……早く……して……っ」  京の分身を見ると、また真っ赤に熟れている。俺は可愛く強請る京をもっと知りたくて、腰骨に柔らかく歯を立てながら、分身の下に実る二つの果実を片手で弄んだ。 「やぁっ……! 真一……!」  蕾への愛撫のお陰で、すっかり懐柔された京が叫ぶ。全身が性感帯になっているようだった。  隣が京の部屋で良かった、と思う。隣に住人が居たならば、ここまで開放的にはなれなかっただろう。  俺は京の腰を掴み、勢いをつけてうつ伏せにさせた。 「んっ?」  京が、驚きの声を上げる。 「京。尻上げろ」 「えっ……」  僅かに理性を取り戻した京が、戸惑ったような呻きを漏らした。 「バックからの方が、身体に負担がかからねぇ」  だが京の理性は、俺のリクエストに応えなかった。俺は強引に腕を京の腰にかけ、尻だけを高々と上げさせた。  愛撫の名残に収縮する蕾が俺の雄と同じ高さにくる。その光景は、否が応でも俺を奮い起たせた。 「京、今度は痛くねぇからな」  この数週間、京の蕾を咲かせ続けてきた。全て、今夜の為だ。  京の雌花に俺を宛がうと、徐々に軽く注挿しながら、じりじりと押し進む。 「あ……っ、ぁっ」  京が、快感と理性の狭間で揺れる。最初の夜の痛みを、身体が覚えているのだろう。  俺は京の理性を飛ばすよう、萎えかけている分身を掴んだ。ゆっくりと扱いて、快感を引き出す。充分に花開いていたそこは、やがて俺を根元まで飲み込んだ。 「京……くっそ……イっちまいそうだ」  俺はグッと堪えて、京の尻に腰を擦り付けるように刺激する。 「ぁっ、あ、イイっ……」  挿入している間、苦鳴にも似た声を溢していた京だが、ついに息吹を吹き返して、確かにそう言った。
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