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問い詰めると、京は真っ赤になって白状した。そんな京が可愛くて、俺は向かい合ったブラウンの髪をポンポンと撫でた。
「はは、悪りぃ。訊いてみたかったんだ」
「真一は?」
「ん? 俺も全部だ」
「ズルい!」
「ズルくない。ホントの事なんだから」
俺ははぐらかして、テレビをつける。
『昨夜行われたSeekerのプロデュースライヴでは、WANTED with rewardがデビューを果たし――』
「「あ」」
同時に声を漏らし、画面に見入っていると、俺が京にキスしているシーンも映し出された。
「うわっ。カメラ入ってたんだ!」
「Seekerにやられたな」
京が頬を染めて非難の声を上げた。
「君がキスしなければ良かっただけの事だよ!」
だがそんな可愛い怒りは、俺にはちっともききやしない。
「言っただろ。これからもするから慣れろって」
「真一……!」
『なおWANTED with rewardは、ロンドンを皮切りに世界ツアーが予定されており、チケットは――』
それを耳にして、俺たちは小競り合いも忘れて顔を見合わせた。
「「Seeker……」の奴……」
「どうやら、しばらく忙しくなりそうだな。その前に……京」
俺はベッドに座り、手招いた。京の反応は、少し赤くなった後、立ち上がって飛び付くように俺にダイヴしてきた。
夢中で口付けを交わす向こうのテレビ画面では、正史郎さん、マコ、健吾がインタビューを受けていた。
俺が、携帯も家電も全て切ってアランに溺れていたと知れるのは、この日の夜になってからだった。
「真一……愛してる」
「ああ、愛してる、京」
一体何をしていたのかと正史郎さんに厳しく問われ、京が真っ赤になって顔色で白状してしまうのは、明日の朝の事になる。
Happy Happy End.
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