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 凌自体、美形の部類に入るのだから、その姉が美人でもおかしくはない。 「志鷹のお姉さん? すごい、おきれいですね」  その時の明生は、思わず、そんな風に言ってしまった。それはよく覚えている。  姉は、言われ慣れてしまっているのか、大げさに否定したりはしなかった。  何を会話したかは思い出せないのだが、低いトーンの美声だった様に思う。長い、自然にウェーブがかった黒髪をかすかに揺らして、まっすぐにはこちらを見ずに話していた。  それで、落ち着いた超美人、という印象が残った。 「──知ってるのか。そう言えば、一度、学校で会った様な…」 「懇談会の帰り…それとも行き? に、会ったことあるよ。…懐かしいな、お姉さん、元気?」  凌の箸が止まる。厳密には、少し前に止まっていた。 「……だと、思う」 「? なんだ、しばらく会ってないのか?」  凌の表情があまりにも堅いので、「まさか死…」という言葉がよぎるが、だったら、「元気だと思う」とは、言わない。 「あぁ… 当分、会えてないんだ。でも」  凌は、表情はあまり変えられなかったが、話し方を『なんでもない』風にしながら続けた。 「また、そのうち会えると思う」     
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