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自分が知っている、その名前の男にそっくりなのだ。
少し揺さぶれば起きそうなのだが、頭を打ったりしていたら動かしたらまずい。
そこまでわかっているなら救急車を呼べばいいのに…と、自分で自分に思っていたら、おそらく志鷹凌、の、目が開いた。
おそらく志鷹、は、さっき仰向けにしたせいで、まず、自分がぶち抜いた天井の穴を見ることとなった。それから、人の気配がしたからだろう、こちらの方へと首を傾けた。
その顔は、もう間違いなく、高校1、2年生の時のクラスメイト、志鷹凌だった。
「……明生? 岡元明生、か?」
間違いなく志鷹、が、自分を名前で、まず呼んだのは意外だった。
2年間、同じ教室で、50音順に席を並べた列の、岡元と志鷹は隣同士だった。
よく話はしたが、下の名前で呼び合う程、親しい仲だったとは認識していない。授業が終われば、何処にあるか知らないそれぞれの家に帰っていた。
「ここ……何処だ?」
志鷹凌は、さっきも見上げた穴空きの天井、その周囲全体を眺めた後、「?」という表情を浮かべる。
ここが何処なのか、さっぱり見当がつかない様だった。
「僕の家…の、敷地内の、元工場」
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