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 合成の軽い革ジャンが昨今は多いが、本格的な重みのある革ジャンだった。脱がされるのを、もしかしたら拒否するかと思うが、志鷹凌はおとなしく従ってくれた。下には薄いシャツを一枚着ていて、血が滲んでいる様子はなかった。 「よかった。…志鷹、無傷過ぎるだろ」 「へぇ。…久々に苗字で呼ばれた」 「?」 「って…俺、明生に、苗字で呼ばれていたか?」  言いながら、志鷹凌は明生に向けて半身を捻る。シャツはだいぶ薄いらしく、たくましい体つきが透けて見えた。  高校生の時からすでに、180cmはあった。運動部所属や経験者ではないそうだが、がっしりしていた。  目は鋭いが大きく、目鼻立ちも整っていた。男子校なので美形として機能しないのが惜しい程に… それに、美形と称するには、やや攻撃的な顔立ちだった。  それでは、よく喧嘩を吹っ掛けられて大変だろう…と、思いきや、そうでもなかったし、実際、ない様だった。  志鷹凌は、ぱっと目を引く容貌をしているが、そうして見た者に対し、とても穏やかな表情と空気を向ける。それが計算や作り物ではないと気づくのに、長い時間も与えない。  拍子抜けするくらいのいい人っぽさに、大抵の初対面は驚くだろう。  高校1年生の時、最初は明生もそうだった。 「最初から、…いつが最後だったかわからないけど、僕は最後迄、志鷹って呼んでたよ」 「そうか…そうだったか」
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