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 3年生の時、就職組と進学組に分けるクラス替えがあった。明生は一応大学進学で、志鷹凌は就職希望で、別々のクラスになった。  その後、成績優秀は勿論、容姿端麗でないと入れないというホテルに就職が決まったと、噂で聞いた。  が、直接、「ホテルマンかよ、でも、まぁ、似合いそうだな」とか言った記憶はない。  もしかしたら、別クラスになってからは、話もしなかったのかもしれない。 「でも、もう、俺のことを志鷹って呼ぶ人間はいないし、いまからは凌でいい」 「は?」  意識が高校3年生の頃に飛んでいたので、話を合わせられなかった。 「えっ、呼び捨て? 急に? いま?」 「俺も、明生って呼び捨てにするから…いいだろう?」 「はぁ~ …別にいいけど」  臨機応変に合わせられない方が人としてダメ…そんな風に思うことにした。  一応大学を卒業して、会社員になって以降は特に、相手に合わせることを覚えてきた。小さいが、一事業所の経営者になったいま、いっそう、その傾向にある。 「僕は逆に、呼び捨てにする人間なんていないよ」  岡元さんか、職場では、所長(笑)、明生くん……     
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