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①
その夜、空から何かが落下してきた。
それが人間で、高校の時の同級生だった──なんてことが、実際に起こったから、社会人になって、多少、図太くなった自分でも、激しく驚いた。
──ウソ、だろ…?
あらためて、天井を見上げる。
人間ひとり分の穴とはあれくらいのサイズなのか…などと、思ったりする。
アニメみたいに、向こうに星空が見えたりはしなかった。
──天井ぶち抜いて、人間が落ちてきても…その人間ってわりと無傷なものなんだ…?
コンクリートの床の上で倒れている男を、もう一度、全身よく見る。
黒髪に、黒い革ジャン、黒いカーゴパンツと黒づくめの服装なので、怪我をして出血していても気づきにくいだろうが、こうして見ていてもそれらしい様子はない。
顔をやや苦しげに歪めていて、意識不明の重体…と言うよりは、気絶しているだけ、に見える。
目が覚めたら、ひどい打ち身だった、で、済みそうな…
だが、この男が気がついたら、「大丈夫ですか?」よりも、
「おまえ……志鷹だよね? 志鷹凌」
と、真っ先に言いたかった。
まだ100%絶対とは言い切れなかったが、この顔、この体つき…
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