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「また何かいい案でも浮かんだんですか?」
彩さんのその問いに僕はコクリと頷いて笑んでいた。
彩さんは僕のことをよく知っているし、わかってくれている。
まるで記憶を失う前からの僕を知っているかのように・・・。
けれど、僕と彩さんは僕が記憶を失ってしまってから出会った。
・・・と、僕は聞いている。
それなのになぜだかそんな気がしない。
けれど、僕が記憶を失う前に彩さんと出会っていたとして、それを僕に隠す必要なんてないことだろうから僕と彩さんは僕が記憶を失ってから出会ったと言うことは本当のことなのだろうと僕は僕に言い聞かせている。
それでもそのモヤモヤとした何かは僕の心の中で黒々と渦巻く。
何かがおかしい・・・。
そんな不確かな感覚がいつもある・・・。
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