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僕は白い部屋にいた。
白一色ではなかったけれど、目を覚ましてすぐに『白いな』と思ったことを今もはっきりと覚えている。
その白い部屋は病院の個人病室だった。
目を覚ました僕はすぐにそこがどんな場所かもわからずにいた。
それにそんなことよりも身体を丸々呑み込むかのような倦怠感の方がよっぽど僕は気になった。
僕は一体、どうしてしまったのだろう?
僕はぼんやりとしている頭で必死に考えた。
僕の名前は斎藤 大翔。
齢31歳。
職業は小説家。
小説家としての名は東雲 大翔。
僕の父の名は斎藤 文夫。
そして、母の名は斎藤 和子。
あれ?
おかしいな・・・。
他のことが・・・思い出せない・・・。
まるで濃い霧がかかったかのような霞んだ重たい頭で僕は必死に考えた。
僕はどうしてしまったのか・・・と・・・。
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