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「・・・大翔?」
そんな濃い霧を晴らしたのははじめて聞くはずの声なのにどこか懐かしさを感じさせる優しい女性の声だった。
温かく懐かしい声・・・。
けれど、僕の頭の中にはそんな声の人は存在しなかった。
僕はゆっくりとその声のしたベッド左横へと目を向けた。
目を向けたそこには美人と言うよりは可愛らしい、小さな女性が一人、泣きそうな顔をして椅子から立ち上がって僕を覗き込むように見つめ見ていた。
嗚呼、懐かしい・・・。
そう感じ、そう思うのに僕はその可愛らしい小さな女性を知らなかった。
「・・・キミは?」
僕のその問いにその可愛らしい小さな女性は元から大きな目を更に大きく見開いた。
そして、そのあとすぐにその可愛らしい小さな女性は優しく微笑んでくれた。
その優しい微笑みに僕の胸の奥はぎゅっと締め付けられた。
苦しい・・・。
そう思う以上に僕はそれを愛しいと感じた。
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