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「あ。すみません。突然・・・。私『サイトウ アヤ』と言います。これからアナタのホームケアをさせて頂く者です」
「え? 『サイトウ』・・・さん? なら、僕と同じ名字ですね」
僕はそう言い、自然と笑んでいた。
『サイトウ』なんて名字、別に珍しくもない。
なのに僕はその愛らしく小さな女性・・・『サイトウ アヤ』さんと同じ名字であることがなんとなく嬉しくて話を続けたいと思っていた。
「あの・・・『サイトウ』の字は? 下のお名前の字も知りたい」
僕はベッドに横になったまま『サイトウ アヤ』さんにそう言葉を掛けていた。
僕の言葉に『サイトウ アヤ』さんはニコリとされるとテレビが置かれている台の引き出しからノートとペンを取り出し、そこに自分の名前を漢字で書いてくれた。
『斎藤 彩』
そこに綴られた字体は丸い感じの柔らかなものだった。
「『サイトウ』の『サイ』の字、僕の名字の『サイ』と同じだ」
僕はそれがまた嬉しくてまた笑っていた。
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