僕の記憶。

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「もうっ! 大翔(ひろと)さんったらやだー! 照れるじゃないですか!」 (あや)さんはそう言うと僕から見たらチャーミングポイントの白い八重歯をちらりと覗かせた。 (あや)さん本人はこの白い八重歯を吸血鬼の歯みたいと言って気にしている様だったけれど、僕は(あや)さんのその吸血鬼みたいな白い八重歯を可愛いと思うし正直、好きでもある。 僕は本当に(あや)さんを可愛らしいと思うし、僕は男として女性の(あや)さんを魅力的だとも思う。 このままでは僕はいつか遠くない未来で(あや)さんを一人の女性として本当に好きになってしまうだろう・・・。 けれど、それはいけないことだ。 (あや)さんは僕の介助者・・・ホームケアさんであり、一つ屋根の下で共に暮らす同居人なのだから・・・。 そして、何よりも僕は不慮の事故により、左足を膝上から失った身体障害者であり、記憶喪失者でもある。 そんな障害だらけの僕が健康体である(あや)さんを好きになっちゃいけない・・・。 (あや)さんの輝かしい希望に満ち溢れた未来に暗い影を落としちゃいけない・・・。
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