本屋さんと液タブ

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 彼女が予定していたのはイラスト一枚に四コマ漫画を二本、それに見開きの二ページ漫画が一つ。  すでにネームは切られていてあとは筆を動かすだけである。ここまで進んでいるのを知っているからこそ他の仲間も彼女に腹を立てていた。  だがそのネームを書いたのは一ヶ月近く前、その間にくれはは一切筆を動かしていなかった。  たかが一ヶ月とはいえ今の彼女には精神的問題もある。いざやらんとしても腕が動かない。 「ダメよ、もうあたしはおしまいだ」  何度ペンタブを動かしても思うように線が引けない。  今まで忙しさにかまけてこれくらいのブランクがあったとしてもこんなことはなかったのに、全く思うようにならない。 「読子の言うように今のあたしは愚図よ。仕事も出来ないし絵も描けない、出来ることは彼氏の肉便器───」  くれは愛用のペンタブに彼女の涙があふれた。  そんな状態の画面上にペンを置くから動作不良で変な線がどんどん出てきてしまう。  見ていられないと思った読子はくれはに手を差し出した。 「単なるスランプだとは思うけれど、こういうときは初心に帰るべきね。ほら、これに描き込みなさい」  読子が渡したのは初心者用の練習ノートだった。     
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