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本屋さんと液タブ
夏のイベントを前にして読子はくれはに相談されていた。
そろそろ締め切りが近いというのに筆が進んでいないという。
「結局は趣味なんだし、無理に新しいものを書く必要もないとは思うわよ。合同誌なんだからイラストにするとか」
「やる気はあるしネームは出来ているんだけれど、時間が取れなくて。だから読子に手伝ってもらおうかなと」
「手伝いは出来るけれど代筆は無理よ。だいたい、筆が進まないのは真島くんと毎週遊び惚けているからじゃない」
くれはの悩みについて、その根本が色ボケにあることを読子は事前に聞いていた。
他のサークル仲間からは愚痴が溢れるほどである。
むしろ仲間からくれはの色ボケを治してほしいと頼まれた立場であり、読子としては二人の馴れ初めに関わっているため責任を感じていた部分もあった。
「今週中に入稿しないとみんなに怒られるわよ。くれは待ちなんだし」
「でもさ……どうせ四ページくらいなんだし、アンタが手伝ってくれれば……」
「ちょっと! いい加減にしなさい!」
シャキッとしないくれはの態度に読子はつい怒鳴る。
この調子では同人どころか仕事の方でもいい加減なことをしていそうで、友人として不安になってしまう。
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