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ずるんと一気にペニスを自分の身体から引き抜く。そしてベッドから降りて裸のままぺたぺたと部屋を出て行った。
九月は声を上げて泣いた。ひどすぎる。つらすぎる。苦しすぎる。殺してもくれない。
「保科…………ッ」
「あー、ごめん、九月、出かけないと。とりあえず、もう家帰って?」
見慣れない美しい形のシャツを着た保科が、カフスを止めながら言う。普段ならどこのブランドのものなのか気になっただろうが、もはやそんなことはどうでも良かった。
服など着ないで。置きざりにしないで。
「い……行かない……で」
いきなり保科の温かな体内から放り出された九月のペニスは、本人以上に事情をのみこめておらず、まだ充血し起立したままだった。
「無理。ねえ、そろそろ本当に帰りなよ。僕らもこの部屋引き払うし」
「どうして……どこへ行くの? ぼくも……ぼくも連れて行って」
「……だから無理だって。あはは、だって、九月、僕らとなんの関係もないじゃん」
そんなの最初から知っている。
「また会うかもしれないし、会うことはないかもしれない。だからそんな一生の別れみたいな顔しない」
にっこりとほほ笑む。
「あ、それから携帯しつこく鳴らしたりしないでね。必要ならこっちから連絡するから」
「あー、えっと、元気?」
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