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 一方キョウイチは、その口元に世界に対する不信を表明していたが、凶暴さは写真に写っていない。目元の傷もまだない。 「ウカとキョウイチは普通につるんでたトモダチどーしだったらしいぜ。俺の先輩が一コ下でさ。よくわかんねえけど、途中からキョウイチがウカにムカつきだして、他のやつ使ってレイプさせたんだって。それもガッコーで!」  粗い画像には目線が入っていた。週刊誌の記事だった。 「ウカは反撃してキョウイチを殴った。ほら、あいつここんとこ傷あるだろ? あれあれ」  男は、自分の目元を指さした。 「そんな二人がどうして今、一緒に?」 「……さあ?」  九月はその後、狂ったように検索をかけたが、事件以降の加害者と被害者がなぜいまだにおかしなゲームを続けているのかは、いくら検索ワードを変えてみようが、ブラウザのページを送ろうが、みつからなかった。  確かなのは、保科とキョウイチが、九月をおいてどこかに行ってしまった。その事実のみだった。  なんとか再就職できたのは、何かをしていないと自分が壊れてしまうと思ったからで、その読みは正しかった。  運よくもぐりこんだ、まともな職場。     
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