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閉店間際の携帯ショップにかけこみ、「大事な連絡が入るんです」と言ってすぐに作り直した。壊れていた間に着信があったのではと思い、調べてもらったが、そんなものは一つもない。
そしてついには、自分から、死ぬような思いで電話をかけた。
案の定保科にはつながらなかった。無慈悲な自動音声が流れ続けた。
何日もかけて文面を考え送ったメールは、数秒後に受け取り手不明で戻ってきた。それを保科からの返信だと勘違いして一瞬胸が高鳴った。
とうとう誰もいない部屋あてに、手紙を書いた。運が良ければ転送される。内容は、……何を書いたか覚えていない。その手紙は宛先不明で戻ってくることはなかったが、保科に届いたという保証もなかった。
やがて買い物依存症になり、服や服飾雑貨を中心に、熱に浮かされたように買いまくった。
保科に捨てられたという事実を受け入れるのに、二年がかかった。
当時キャッシングで作った数十万という中途半端な借金をきれいにしたいと思えない。行き場のない思いを引きずったまま、ぐずぐずと返済し適当に滞納している。保科のことばかり考えている。
その保科から結婚式の招待状が届いたのだった。九月は高価なスーツをローンを組んで買った。
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