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目をのぞきこまれて、何度も頷く。
とうとう意味なく残っていた一枚も奪われ、受け入れるために、脚を可能なかぎり開いた。なのに入ってきたものは、とても他人行儀で、ぎこちなかった。
「は……、やばい、なんか、久しぶりだし、今までで一番えろい」
大洋が、やっと自分勝手に動きはじめたので、九月はようやく少しだけほっとすることができた。ゆすぶられながら、しがみつく。
なんだこれ、なんなんだと、思考はループする。
物を処分したせいで、以前より広くなった部屋で目が覚めると、大洋と二人、床でくっついて眠っていた。
すぐそばのベッドにすら、昨夜はたどり着けなかったのだ。
九月は動揺しながらもゆっくり身体を起こして、大洋のだらしない寝顔を見た。妙な感情がわきおこる。
なんだこれ。なんだっけ。
保科と共にいた時に感じた甘く、苦しく、つらく身が引き裂かれるような感情とは真逆の、ふわふわしたもの。
ひょっとして、好き、とか。
また何かが始まる? 大洋と恋愛? こんなのと?……まさか。
盛大に戸惑っていると、寝ぼけた大洋の腕が九月の腰を捕え、バカ力で引き寄せられる。男の胸におさまると、抵抗する気が失せてゆく。
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