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◆ホステスクラブ
部活の先輩から「誕生日プレゼントがあるから、楽しみにしてて」と言われた。
口にこそ出さないが、どこかサプライズ的な匂いがしているのは、なんとなくその口ぶりから分かった。
ぼくは背が低かったので、先輩たちから”可愛いがられていた”
気づくとよく後ろに気配を感じて、お尻に熱く硬い気配も感じることがしばしばあった──。(アツい人たちだ!)
そんなアツい先輩方が言った。
「誕生日プレゼントあげるから、学校終わったらドレスアップしてきてね~」
「はい? どうしてオシャレするんですか?」
聞き返しても先輩は教えてくれない。
両手を肩の高さに上げて、人差し指と中指を曲げて ”エアクォーツ”
「な・い・し・ょ♪」
ウィンクしながら部長はそう言った。
「はぁ……」
言われるまま、ぼくはフルメイクで(フルメイク~!?)待ち合わせの場所に向った。
制服じゃダメだからと、一度家に帰ってから、お気に入りのワンピで(ワンピ~!?)で来た。
「ん~……ま、ギリギリ合格かなぁ」
「だから、なんすかァ~? どうして服装とか関係あるんすかァ~?」
ぼくは食い下がった。
すると先輩がここでやっと、その”誕生日プレゼント”がなんなのかを教えてくれた。
先輩たちがお金を出しあって、ぼくの分は持つから、と──。
”ホステス”クラブへ連れてってくれた。
そこはぼくには似つかわない華やかな場所だった。
ファイナルファンタジーの主人公みたいな髪型をした男の人たちが、あんまよく分からないスーツに身を包み、”お客さん”をお姫様扱いをしてくれるお店──。
本当は初回は安価で”遊べる”らしいけども、ぼくの誕生日だからと”体験”ではなく、もっと本格的に”濃厚な時間を”楽しんでらっしゃい──というワケだ。
先輩がぼくの耳元で囁いた。
「筆下ろししてもらっちゃいなよ。大人になっといで」
ぼくが一人で入るのは気後れするだろうと、先輩たちもみんなお店に入り、保護者がわりをしてくれた。
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