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恋に落ちていた。
(リ……キ……ヤ)
ぼくの胸の鼓動は──Ding dong──早鐘を打つ……。
それは、愛の調べ。
リキヤ……さ、ン。
(んーん。リキ……ヤ)
「リキヤ……って、可愛い名前ですね」
もしかすると、ぼくの目は今、涙が出そうに潤んでいるかもしれない。
胸の高鳴りを抑えながら話すには、今のぼくにはそれが精一杯。
「そ……そォお?」
「……」
ぼくは心の中でこう言った。
”あたしにだけ……その名前を呼ばせて”
あたしの……リキヤ。
んーん。
これは違う。
ホステスクラブだからって──、夢中になり。
夢の中の王子様に恋をしたんじゃない。
これは運命?
ありきたりな言葉。
だけど、その他大勢の子たちとは違う。
言葉で説明出来ない────だから運命なのだ。
それこそが。
そしてぼくは、この日。
生まれて初めて <告白> というものをした。
「今日初めて会って、こんなことを言うのは、変だけれど……」
だのに……。
リキヤさんは、ぼくとの温度差を感じてしまうほどに冷静だった。
どうして、そんなことを言うの……。
「だけど、なっつんってさ。 男子校生だよね……」
ただただ、悲しかった。
そんなことを言われて……。
「年なんて! 関係あるんですかッ!?」
ぼくはみっともなく眉を波打たせていたかもしれない。
もしかすると、下瞼に嫌なものを溜めていたかもしれない。(恥ずかしくなるような)
ぼくはドキドキしながら、リキヤさんが何か言ってくれるか期待と……そして不安の中で、次に発せられる言葉を待った。
直視することが出来ず、ぼくは、しおれゆく花のように視線を下げ──地面を見つめた。
(言わなきゃよかったッ!)後悔しはじめていた。
俯くぼくの頭上に、リキヤさんの声が響いた。
「うん。そうだよね」
「え?」
その言葉に再びぼくは顔を上げた。
(期待しちゃだめ! 期待しちゃだめ! その意味が分かるまでは)
「年齢なんて、関係ないよね──それに男子校生だってことも。
理由にはならないよ」
「あの……それって」
「うん」
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