『妹が連れて来たひと』

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この後夜遅くに帰っていった遥翔だが、 あたしはこの夜なかなか眠れずにいた。 そんな時、遥翔から一通のメールが届いた。 『明日、あの店で一時に待ってる』 ただそれだけ。 翌日あたしは、 よく待ち合わせに使っていた小さな喫茶店に向かった。 待ち合わせの時間よりも少し早めについてしまったが、 ほどなくして遥翔もそこに現れた。 「お待たせ、待った?」 「大丈夫、あたしも来たばかりだから」 「挨拶に行ったらお前がいるからびっくりしたよ」 「それ言うならあたしもだよ、 いったい栞とどこで出会ったの?」 「たまたま人数合わせに付き合わされた合コンの席にいたんだ」 「へぇ、人数合わせねぇ」 「ほんとだよ、信じてくれねえのか」 「分かった、信じてやるわよ、 それよりこんな所であたしと会ってて良いの?」 「大丈夫!見つかりっこねえって」 「ほんとならあたしたちが結婚するはずだったのにね」 「ほんとだな、どこで歯車狂っちまったんだろな?」 「なあ、栞と結婚しても、 たまには俺たちこうして二人で会わねえか?」 「何言ってんの? そんな事できるわけないでしょ」 「大丈夫だよ、 栞にばれなきゃいいんだから」 「そんな事言ったって」 「久しぶりにお前の躰も感じてみたいし」 「ダメだって、 あたし達義理とはいえ兄妹になるのよ、 そんな事できるわけないでしょ、 それにあたしだって、 今は別の彼氏がいるんだから」 それでも断りきれなかったあたしは、 遂に遥翔とホテルに来てしまい、 義理の弟になる男とあってはならない関係になってしまった。
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