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僕はおどおどと言ったけれども、千尋は思い切って話しかけたみたいな感じだった。
これはもしかして、甘酸っぱい青春の味なの?
ふたりは、とってもキュンキュンしていた。
私の心臓の音が聞こえちゃう、恥ずかしい、お願いこの沈黙を破って神様!!
と千尋は思わなかった。
だから普通に、
「やっぱ何でも無い、ん? 電車賃って何円かわかる?」
「180円位だと思うよ」
「やっぱり?」
で終わった。
それから間もなく上岡と六郎が一緒にやってきた。六郎にいたってはヘラヘラと笑っている。
「ちづる呼びにいってたーハハ!こいつ呼ばないと遅刻しそうじゃんね?」
「うるさい、朝早くから起こしにきやがって」
イライラした様子の上岡は寝癖がすこし残っていた。きっとよっぽどせかされたのだろう。
こうして集合時間を連絡したメンバーは皆集まったので一同は電車に乗った。
ガタンゴトン、ガタンゴトン――
重い金属音が規則的に聞こえてくる。電車特有の音。電車通学が終わってもたまにこの音が聞きたくなってくる。心のどこかを刺激する音。
町までは電車で約30分。一人でいれば長く感じるかもしれないけど、今日は友達がいるからとても楽しく、30分なんてあっという間だ。
「あれ?なんか誰かいない気がするんだけど……気のせいかな?」
千尋がふと思ったことを口に出す。
「ん?気のせいじゃないか?ちゃんとみんないるぞ?」
僕はその問いに答えた。
「そんな小さいこと気にしないで、みんなでしりとりしようぜ!」
「お前はガキだな」
「じゃぁちづるはやらなくていいぞ!奇下と千尋と三人でやろ!」
「別にやらないなんて言ってないだろ!」
「なに?やりたいの?」
「……まぁ暇だしやろうか」
「ハハ、素直じゃないなぁーまったく」
六郎と上岡はなんだかんだ言って仲がいいなぁ。僕も千尋もこのやり取りを眺めながら微笑んでいた。そこから隣町まで四人でしりとりをしていった。ちなみに、毎回『ん』の付く言葉しか言わない六郎が全敗という結果だった。
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