第二章『受験戦争前の戦争』

61/81
前へ
/630ページ
次へ
手忠君と有紀ちゃんのやりとりを見ていると2人の席に挟まれている暗いイメージのある女性。 小間正子(こま せいこ)が急にノートに字を書き始めた。 ノートには『浜野許さない!手忠君に触れるな死ね!』と書いてあるのがこっそり見えた。 彼女も手忠派の人間だ。 いつも上岡君か手忠君かでクラスの女子は悩むくらいに2人の人気は圧倒的である。 それ故に出来た言葉が上岡派と手忠派という言葉だ。 実際に私の友達にも何人か上岡君と手忠君の事が好きな人がいる。 やがて実験が終わり落ち着いていた教室に向かい先生は言った。 「そろそろチャイムが鳴るからな、ノート提出した生徒から帰っていいぞ」 廊下を開け2人の生徒にも声をかける。 「そろそろ授業は終わりだ……今回の内容は大事だから後で確認しておけよ」 先生はさっきとは違い少し優しい声で2人に言った。 「はい」 そういって教室に入ってきた奇下君と大星さん。 私は奇下君の少し恥ずかしそうな顔を見る。 「奇下派」 ぼそっと言ってしまった言葉にハッとして恥ずかしくなる 隣の蝶羽さんに何も言われないから周りには聞こえなかったと思う……
/630ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加