第二章『受験戦争前の戦争』

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身長は僕とあまり変わらない、屈強そうなイメージと違い細身の長髪な男性。ゆるい曲線のつり目にずっと笑っているような口、黒い髪はほんの少しのくせっ毛がある そしてすぐに目についた、彼の左手には初めて見る重量感のある銃器。 適当そうな雰囲気だったためか思っていたよりも恐怖は無い。 それとも確実な死の臭いに、覚悟を決めていた冷静があったのかもしれない。 「単刀直入に言わしてもらうぜ?お前達の中にサイコを知る奴はいるか?」 教室に返事は何もない 「まあーそう堅くなるなって、黙っていても良い事は無いぜ?」 少しざわつく教室。しかし僕はその言葉にピンと来るものは何も無かった。 おそらくこのざわつきは他のクラスメイトも同じだろう。 「……ふう、そうか!!それがお前達の答えだな」 彼は溜め息をついて左手を微かに動かした気がする。 その瞬間 「私は知っている」 教室の何処からか声がした、正体は大星(おおほし)であった。 彼女は席を立つ、クラスメイトはみな大星に視線を集めた。 「ほほう?お前が?ひゃはははは!!!」 左手の銃をもてあそびながら犯人であろう男性は大笑いした。 笑いが収まると右手で下唇をさすりながら彼は続ける 「そうかそうか?じゃあお前は俺たちに着いてきてもらう」 静かに頷くと大星は彼のいる教壇まで歩いていった。
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