第三章『くたびれた青春』

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ーー8月27日 昨日の事件を思い返す。 「戦うか? ひゃははは!! じゃあ公平なゲームを準備しないとだな!! そうだな……9月1日!!! またこの教室に来るだろう」 そう言い残し男はさっさと帰ろうとする。 「9月1日」 「じゃあまたな! 愛すべき3ーCの生徒達よ! ひゃははははは」 「……」 彼の気楽な態度は場に合わず反応出来ない。 「待て! 最後に名乗ってから帰るんだ!」 上岡が追う様に言う。 「俺様の名前は手口(てぐち)だ! 覚えとけよ?」 そう言って彼は満足そうに帰っていってしまった。 緊張した時間は去り、取り残された僕達は呆然としている。 「手口か……とんでもない事になったな」 「他のクラス! 他のクラスはどうなってしまったの?」 ゆずこの疑問に手忠は1人教室から出て行き、しばらくして帰ってきた。 「他のクラスは駄目だ、悲しい現実だろうが皆死んでいる」 「……」 黙り込む教室に泣き出す生徒達のすすり声だけが残ってしまう。 僕は主人公として場の空気を変えようと努めた。 「悲しいだろうけど俺たちは負ける訳にはいかない! 必ず勝つぞ! 今日勝てかてきょう! 今日勝てかてきょう!」 場の空気は重いままだ。 「皆、聞いてくれるか? 私から知っている事を全て話そうと思う」 大星(おおほし)は教壇に立ち僕達に知っている事を説明してくれた。
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