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その頃、千尋は家にいた。
「おじいちゃん! これバターなくなっちゃった!」
「ふふ結構だね、バターは私の部屋の右にあるよ」
「え? 右?」
私はおじいちゃんの、お手伝いをしていた。
平日の昼間はお客様が少ないが常連客の方が何人かいる。
「おじいちゃん! 右ってどういう事??」
マスターの部屋から千尋は大きい声で訪ねる。
「ははは、右と左もわからないのか千尋は……お箸を持つ方が右だぞ」
「それはそうだけど、えーっとバターバター」
マスターは、コーヒーを飲んでいる年配の男と、話をしている。
「千尋ちゃんももう高校3年生かー、この前まで本当に小さかったのに早いもんだ」
「フフフ我々も歳を取ったものだね」
「小さかった頃は男の子と間違えるくらいにやんちゃだったのに、今じゃあすっかり綺麗になって」
「フフフ我々も歳を取ったものだね」
「おじいちゃーん!!バター何処にあるの?」
「相変わらずおっちょこちょいなんだな千尋ちゃんは」
「フフフ我々も歳を取ったものだね……千尋ー? バターは冷蔵庫の奥だぞ」
「え? 冷蔵庫?」
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