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帰り道
空には太陽が堂々と居座っている。テストが午前中で終わったのでお昼を食べずに帰路に立つ。
明日から夏休みと考えると自然と足取りも軽くなる。高校生活最後の夏休みと考えるとどこか寂しい気もするが、なんにせよわくわく感の方が勝っている。
「いやぁ、それにしても楽しみだ」
六郎がワイシャツの袖をまくりながらそうつぶやいた。
「そうだねー。なんだかんだ言って高校最後の夏休みだし、なんか思い出作りたいよね」
僕もワイシャツの裾を直しながらそれに答える。
「やっぱちょっと遠いところに旅に行こうぜ!」
「いいねいいね! 海とか行きたいよ!」
二人でひたすらに妄想を膨らませる。
「二人とも遊ぶのもいいけど勉強もおろそかにしないように気をつけろよ。」
隣で静かに聞いていた上岡がくぎを刺す。
「とりあえず腹減ったな! ガリレオール行こうぜ!」
ずっと飛行機に変形して飛んでいたU-22が空から話しかけてきた。
「そうだね。たしかにお腹空いたし行こうか」
僕は空に向かって答えた。正直空を飛んでいること自体、かなりうざいが他の2人はあまり気にしていないようなので声には出さない。僕はことなかれ主義の典型的な日本人なのだ。
喫茶店 ガリレオール――
4人の行きつけの喫茶店。料理が全品50円で食べられる。これがかなりうまい。
しかし飲み物は全品2万円。マスターは人間みたいな顔をした熊。そう、クマ。
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