強き思い

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「あ! コーちゃん?! 久しぶり! 」 三人組の少女たちが席に着こうとしたとき発せられた。真ん中にいた少女が振り向く。優等生風の真面目な黒髪ボブの少女だ。 「え? ……メア、リー? 」 目を見開く。 「うん! メーちゃんだよ! 」 明るい少女は天真爛漫そのものだった。くるくるした紫の髪を二つ結びにしている。 「ほら、あっちにアーちゃんとクーちゃんいるよ! 」 名前を呼ばれたそっくりな左右ポニーテールの少女たちが、気だるげにこちらを向く。 「アミール、クレア……」 「「……久しぶり、コーデリア」」 コーデリアにははにかんだような笑みを同時に向けた。 「あ、エリオット兄ちゃん! 」 当のメアリーは大きめな銀の短髪少年に飛び付かんばかりに抱きついていた。 「メアリーったら、変わらないね」 「「……うん、でも嫌じゃない」」 メアリーの笑顔は周りを明るくしていく。 「おお? メアリーじゃねぇか! 久しぶりだなぁ」 わしゃわしゃと頭を撫でられている。 「ほら、アイシャ。メアリーがいるよ」 「まぁ、本当に……。偶然でも嬉しいわ」 ふわふわのはちみつ色の猫っ毛の少年が羊のようにもこもこ黒髪のおっとり少女に話し掛ける。 「……なんでいつも……カイトはアイシャと居たがるのかしら。……なんでミリアを見てくれないの……。あ、メアリー……メアリーいてくれた……」 付かず離れずの位置にいる、クマの目立つ赤毛お下げの少女。何かを拗らせているようだ。 ━━しかし、これは同窓会などという、楽しい会合ではない。 これから悪夢が始まるのだ。選別という振るいに彼らは掛けられる。 今登場したのはほんの一部。何百という"孤児"たちがここに集められた。 メアリーはただあがらうために画策する。 それが幸と出るか不幸と出るか……、いや、無理矢理にでも幸と出す。 そのために少女は……大きな対価を支払ったのだ……。
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