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プロローグ
さくさく音をたてて枯葉の道を歩いていく。
銀杏並木から落ちた銀杏の葉も、もう黄色くはない。
特別なこの日、クリスマス・イブ。私はお洒落をして街に出た。渋谷とか新宿とかの騒がしいところは苦手だから、銀座に来てる。
私はクリスマスの雰囲気が大好き。みんな楽しそうで、夢を見てて、とても素敵。
でも昔は、何だか焦ってた。
クリスマスなのに。素敵なことが起こらなくちゃいけない日なのに、素敵なことが起きない! って。
だから、何にもないとすごくガッカリした。大きなチャンスを逃したような気がした。
クリスマスケーキやプレゼントだけで大喜びする時期を抜けた私は、いつもそんな気持ちで、消えていくクリスマスの電飾を見ていた。はっきり言って、そんな私はちっとも素敵じゃなかった。
だから、クリスマスだけにする特別なことを決めた。
それは、ちょっとイイなって思った人に、勇気を出して声をかけること。
こんなことを誰かに話したら、危険じゃないかって言われるかもしれない。
私だって、本当はこわい。でも、どうしてか、そうせずにはいられなかった。
イイなって思った人に声をかけることを決めたのは。一昨年から。
一昨年初めて声をかけたのは銀行員のお姉さんで、去年は洋服店でバイトしてる女子大生さんだった。
二人とも、現役女子高生やってる私が普通に生きていたら、絶対に会わなかっただろう人達。
最初はとても不安だったけど、一人目の人と友達になれてからは、平気になった。
二回目は一回目よりも、もっと簡単だった。向こうも学生だったってこともあって、私達は会ってすぐ友達になれた。
もちろん、普段はできないよ。
だけど今日はクリスマス・イブ。大人の世界は子供の世界になって、愛の無い街は愛で溢れるから。
これはゲーム。楽しいゲーム。
楽しくて、素敵な、CGRISTMAS GAME!!
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