「センセー、私、今日、死のうと思う」

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その時、体が温かいものに包まれた。 かたくて、やわらかくって、いい匂いで、じんわり温かい。 部屋と同じ匂いの中に、整髪料の匂いと、なんだか、不思議な匂いがする。 こんなのは、知らない。 「……………センセー…?」 「…………」 何も音がしない。 嘘、私の心拍音が体中に響いてる。 でも、外には聞こえてないはずだから、やっぱり本当。 こんなこと考えてしまうくらい、凄く混乱してる。 だって、センセーは何も言わない。 いつもの態度からは考えられないくらい、強く、でも優しく抱きしめられてる。 今は、カーテンを開けてるから、ちょっと左を向くと、先生の茶色っぽい黒髪と私の金髪っぽい髪が絡み合ってる。 私の髪がうねってるから、 私の髪がセンセーの髪に絡み付いてる。 それが、とってもいけないことに思えて。 「………ごめんなさい…」
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