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こめかみに青筋を立ててこちらに向かってくる理久を、慌てて制する。
「今働いてるカフェの制服、スラックスが淡いグレーなんだよ。夏服は薄手だし、なんか下着が透けてそうで気になってさ」
若い女性に人気のある店ということもあって、特に夏場は清潔感のある身だしなみに気を遣う。テーブルに屈むたびに、最近はなんだか客の視線が妙に気になるのだ。
早口でそう説明すると、いからせた肩を下ろして理久が溜息をついた。
「あー。なんだ、そういうことか……確かに、お前のルックスは女性客の注目集めそうだしな……」
「全然嬉しくない」
実際、今日も女子大生らしきグループ客に「店員さん、モデルの××に似てるって言われませんかー」などとテーブルに引き止められて、閉口したのだ。
それにしても、自分からそういう話をしたことはないのに、なんで理久にはバレるんだろうな。
「そういうことなら、別に俺に許可を取るまでもなく、好きにしたらいいだろ」
理久はなんだか投げやりな口調でそう言うと、ふいとそっぽを向いてしまう。俺は口を尖らせた。
「だって、俺のTバックとかビキニとか全部捨てさせたの、理久じゃん」
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