1st STORY 【空の羽】

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「太陽はあっついから止めようよ。 どうせ掴むならリー、お星さまがいい!!」 人が感傷的になっているというのに、空気の読めないリーちゃんはキラキラした目で私にそう言ってきた。 「星?どうして?」 「お星さまのがピカピカ光って宝石みたいだから!! リー宝石大好き!!」 宝石なんて何が良いのか分からなかった私は首をひねったけれど、同じように『じゅえりー』に興味なんて無いと前に言っていたキーちゃんは違った。 「キーもお星さまが良い……」 ボソッと、呟くように言ったキーちゃんに、「裏切り者」と私が憤慨した。 「夕陽がキレイだから私を連れてきたんじゃない!! それなのに二人はやっぱりお星さまのが良いだなんて!! ウワキだわ、フケツだわー!!」 先月見たドラマの台詞を、意味も分からず私が二人に口にすると、キーちゃんは着ていたズボンの裾をぎゅっと握り締めて、寂しそうな顔で言った。 「お星さまに願うとね、お願い事叶うの。 だからキー、お星さまを捕まえてお願いしたいの。 パパとママが、もう一回仲良くなりますようにって」 言われて私は余計な事言わなきゃ良かったと、激しく悔やんだ。 リーちゃんとキーちゃんのパパとママは、パパの仕事が忙しいせいでケンカばっかりしてるらしい。 だから二人はいつも両親がケンカしてる間、ずっとここでケンカが終わるのを待っているのだ。 空気が読めないのは私も同じだったようだ。 ここは二人よりオトナな自分がなんとかしなければ。 「……んもう、しょーがないなぁ。 分かったわよ、掴むのは太陽じゃなくて星にする」 どこか諦めたように私が言うと、キーちゃんとリーちゃんは二人して花が咲いたような笑顔を浮かべた。 「本当!? ありがとうレンちゃん!!」 「レンちゃん、お星さま掴めたら私にちょーだいちょーだい!!」 「わかった……わかったわよ。 約束する。 二人にお星さまをプレゼントする。 私にどーんとまかせなさい!!」 そう言って私はリーちゃんがさっきやったみたいに、思いっきり胸を張って威張った。 「ありがとうレンちゃん!!」 キーちゃんが泣きそうになりながら笑顔で言った。 「一番おっきいやつね!!」   興奮で顔を真っ赤にしながら、リーちゃんが言った。 (私の方こそ、ありがとう) 私は心の中で二人にそうお礼を言った。
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