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そう思っていたのだが左からの視線が痛い。左は奴だ。見るな、やめろと頭ではわかっているのに、チラッと見てしまった。
……案の定奴と目が合った。
「なぁ。お前葉山、だよな?中学一緒だった」
「え…?」
なんで俺のこと知ってんだよ…。俺なんてジミーズの一員だぞ?何でこんなキラキラした奴が俺のこと知ってるんだよ。
「あ、もしかして俺のことわからないか…?中学一緒だったんだけど…」
「いや、知ってます、けど…」
むしろお前は有名すぎだから!知らない人の方が少ないから!
「なんだ~良かった!中学じゃ関わりなかったけど、高校じゃ同じクラスになれたしよろしくな!」
「あぁ、はい」
「おーい!大志!早くこっち来いよー!」
「…呼ばれてますよ」
「うん、知ってる」
「…早く行ったほうがいいと思いますよ」
「俺、葉山ともっと話したい」
奴の真剣な目で見つめられると同時に、奴を呼んだグループの視線が突き刺さる。
「明日もあるじゃないですか」
「…そっか!明日、な。じゃあ約束!」
「はい」
俺の返事を聞き満足そうに頷いて他のやつのとこへ行った。
気まぐれな人気者の顔を一瞬だけ見て、窓の外に目を向けた。
そこには遅咲きの桜が満開に咲いていて、安田が僕の存在を忘れてくれますようにと綺麗な桜に願った。
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