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◆ ◆ ◆
今日も今日とて澄み渡った青空の下、中庭のベンチに座って昼食をとる。
それはいつも通りの日常で、いつも通りの昼食の光景――のはずだったのに。
隣で菓子パンを食べていた友達の相川 友瀬(あいかわ ともせ)の衝撃的な一言で、すべては始まったのだった。
「やっぱりさ、乙羽(おとは)たち付き合ってるんじゃん」
「ぐ――ごほっ、ごほっ!?」
ちょうど飲み込むところだった卵焼きが変なところに入ってしまって、私はむせた。
「ごほっ、ごほ……! み、水……っ!」
「あーあ。まったくもう、落ち着いて食べなさいってば」
誰のせいだよ、という言葉は飲み込んだまま、差し出された水を受け取り、ごくごくと喉を鳴らして一気に飲む。
「っ……はぁ、はぁ……」
おかげで事なきを得た私は呼吸を整えたあと、ふうと一つ息を吐きだしてから笑い飛ばした。
「突然何を言い出すのかと思ったら、トモは冗談きっついんだからー」
あまりにも不意打ちすぎたから驚いてしまったけど、またいつもの冗談だろうと思って、私もいつものように否定する。
だけど、この日はなんだか違っていた。
「冗談? あたし、別に冗談言ってるつもりなんてないんだけど?」
妙に真剣な様子の友瀬に、思わずごくりと唾を飲みこむ。
「ちょ、ちょっと待って。なに、どういうこと? 私はてっきりからかわれたと思ったんだけど……ええと、違う……の?」
すると呆れたようにため息をついてから友瀬は、「今、校内は乙羽と橘くんのある話題で持ち切りなの」と口にした。
「ある話題……?」
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