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原田優也(ゆうや)。
爽やかな笑顔と嫌味のない性格から男女問わずに好かれていて、真面目でしっかり者だからと教師からも頼りにされているクラスの人気者。
そんな彼は私のクラスメイトであって、中学生のときからずっと片想いをしている相手でもあった。
「あっ、えと……あの、こ、こんにちは!」
「ぷっ。こんにちはって、昼休み前も話したよね、俺たち?」
「あ……そ、そういえばそうだった」
「はは、相変わらず面白いね柴咲は」
ふわりと笑う原田くんに、どきりと心臓が高鳴る。
うっ……や、やばい。今、絶対顔赤い!
私は原田くんに顔を見られたくなくて、慌てて俯いた。
「そういえば、なんだか急いでるように見えたけど……何か急ぎの用事でもあったりした?」
「え?」
顔を上げると、心配そうに私を見てくる原田くんの視線とぶつかった。
「だったら、ごめん。俺、邪魔しちゃったかも」
「やっ、あの、そ、そういうわけじゃなくて――」
ただ海璃を捜しに保健室に行くところだっただけで。
そうあとに続く言葉が頭には浮かんでいるのに、緊張のせいで上手く口が動かせずにいた。
こうして話ができるだけでも本当は嬉しくてたまらないのに、いつもいつも緊張してしまう自分の性格が恥ずかしくて嫌で仕方なかった。
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