赤の向こう側

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ヤカンに水を張り、コンロに乗せる。 そして、点火ツマミをひねった。 すると、オレンジ色の炎が立ち上り、ヤカン全体を覆った。 火の勢いは強く、ヤマトの眼前にまで迫るほどだった。 慌ててツマミを消化に回して、事なきを得る。 「ガスコンロも故障? どういうこと?」 「さすがにヤマトも立て続けに故障なんておかしいと思ったみたい。つい昨日まで、何事もなかったのに。だから、もう一度テレビのリモコンを操作してみたんだって。ガスコンロに火をつけてみたんだって」 同じ現象が繰り返された。 オレンジ色の閃光を放つリモコン。 五十センチ以上火勢が立ち上るコンロ。 決定的だったのは、リモコンの先端を自分に向けて、ボタンを押したときだった。 「ヤマトは目をつむってたんだぜ。なのに、オレンジ色の光が見えたんだ!」 私は、ひとつの答えに達していた。ヤマトに何が起こっているのか。 しかし、それは起こるはずのない現象だ。 そして、眼鏡少年も同じ答えにたどり着いたのだった。 「え、もしかして? 赤外線?」 「ヤマトは、そうとしか考えられないって言ってた。『俺には、赤外線が見えてたんだ』って」 「ありえない、ありえない」
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