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紀伊先生は優しく、私を気遣う様子でこう伝えた。
「教室に行けないなら、保健室登校の手続きも取れるよ。ここで勉強して、単位を半分だけもらえるの。ただし、ご両親の許可が必要なの」
教室に頑張って戻るか、親にこのことを伝えて許可をもらうか…。選ぶ方法なんて一つしかない。
「戻ります。来週の頭からちゃんと行きます。今までお世話になりました」
心配そうに紀伊先生は何か言葉をかけようとしたが、私は無視をして、カバンを持って保健室を出た。
担任の先生ですら、授業の時間割を教えてくれない。それどころか、見にも来てくれない。何人か仲の良かった先生は、時間があれば来てくれるのに…。
胸がまたキューッと締め付けられる。同じ生徒のはずなのに。面倒なんだなぁ…。私は教室に戻るのがとても怖かったけど、親に話す方が何倍も嫌だった。
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