手を伸ばしたその先は

プロローグ

雲ひとつない青い空。ギラギラと輝く太陽にミンミンとうるさいセミ。暑い夏だ。

田舎の山奥にあるこの家は私の実家だ。今日は引越しのために、私の荷物を段ボールへ詰め込んでいるところだ。それにしても…。

「なんで、自分の部屋にはエアコンが付いてないかなぁ…」3兄弟の末っ子で、部屋も父から譲ってもらった。

なんでもお下がりを使い、新しく使えたと言えば、高校の制服ぐらいだ。まぁ、別によかったんだけどねぇ。

私は本を読むのが好きで、小説、漫画を問わず、部屋に置いている。詰めるのは簡単だけど、運ぶのは重いだろうなぁ…。