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ある年の秋のこと……
東京のIT企業でOLをしている佐藤ミチコ(19)は、あぜ道を歩きながら、思わず、
「あー、やっぱり癒(いや)されるわ……」
彼女は有給休暇を使って、杉下村という、いわゆる「ド田舎」に来ていた。
田んぼと畑以外は、数軒の人家と森と林……というロケーション。
しかし、都会生まれで都会育ちのミチコにとっては、まさしく楽園だった。
この村のことを知ったのは、数週間前のドキュメンタリー番組だった。
以前からミチコは、こういう田舎に住んでみたいな……と思っていたのだ。
さらに、それを実行させたのは、番組中のインタビューで、山中という農家の主婦が、
「二階の一部屋で良ければ、一週間くらいなら無料で泊めてもいいよ」
と答えていた場面だった。
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