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「弱音、吐いてごめん」
金城くんは起き上がると、また鞄から課題を取り出し始めた。
何か言わなきゃいけないのに、かける言葉が見つからなくて黙り込む。
前までの私はどうやって声をかけてたっけ。
ー…時間が経てば経つほど、好きって気持ちが強くなるほど。
柚莉さんのことで悩む金城くんにどう声をかけるのが正解なのか、わからなくなる。
金城くんと一緒に背負うって決めたのに。
私の決意は脆かったんだろう。
どんなに苦しいかを、あの時の私はわかってなかった。
「金城くん英語の課題終わった?」
「全く手付けてない。数学だけは終わってる」
「えー、えらい数学馬鹿みたいな量出てたのに」
今の私には話を逸らすことしかできない。
できるだけ、金城くんが柚莉さんのことを考えなくて済むように。
少しでも、金城くんの傷付いた顔をみなくていいように。
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