Lie 12

12/27
前へ
/450ページ
次へ
「弱音、吐いてごめん」 金城くんは起き上がると、また鞄から課題を取り出し始めた。 何か言わなきゃいけないのに、かける言葉が見つからなくて黙り込む。 前までの私はどうやって声をかけてたっけ。 ー…時間が経てば経つほど、好きって気持ちが強くなるほど。 柚莉さんのことで悩む金城くんにどう声をかけるのが正解なのか、わからなくなる。 金城くんと一緒に背負うって決めたのに。 私の決意は脆かったんだろう。 どんなに苦しいかを、あの時の私はわかってなかった。 「金城くん英語の課題終わった?」 「全く手付けてない。数学だけは終わってる」 「えー、えらい数学馬鹿みたいな量出てたのに」 今の私には話を逸らすことしかできない。 できるだけ、金城くんが柚莉さんのことを考えなくて済むように。 少しでも、金城くんの傷付いた顔をみなくていいように。
/450ページ

最初のコメントを投稿しよう!

437人が本棚に入れています
本棚に追加