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最悪、最低、最悪だー…。
「わ、私帰ります!」
立ち上がって荷物の置いてある金城くんの部屋に走って、鞄をひったくるように掴んだ。
「小倉さん!」
玄関先まで走ったところで、金城くんに呼び止められる。
わかってる。
傷付いた顔なんてする資格ないってわかってる。
だって、私はさっき柚莉さんを傷つけたばっかりなんだから。
そんな顔するのはおかしいってちゃんと頭ではわかってるけど。
ー…涙が、止まらない。
「……ごめん」
顔をあげられない。
こんな顔、金城くんには見せられない。
私はいくつのものをぶち壊してしまったんだろう。
私は靴を履いて、玄関を飛び出した。
人目も憚らずに、泣きながら街を走った。
ー…柚莉さん、ごめんなさい。
金城くん、ごめんなさい。
私が、全部ぶち壊したんだ。
ー…こんなことになるなら。
出会わなきゃよかった。
好きになんて、ならなきゃ、よかった。
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