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 飯を食った後は、リビングのソファに寝転がり、ノートPCでバーニングマンの映像を見た。  バーニングマンはアメリカのネバダ州の砂漠で行われる大規模な祭りだ。集まった人々によってコミュニティが形成され、祭りの開催期間だけ街が出現する。  インフラも何もない過酷な自然環境に一から街を作り、祭りが終われば跡形もなくとっぱらってしまう、その潔さに惹かれる。フィナーレに厳かに燃やされる巨大な人型の建造物、ザ・マン。さまざまな仮装をしたたくさんの人々とアートインスタレーション。真空のような目で、それを見つめる顔、顔、顔。見ると心が癒される。  チェックしていなかった関連動画を憑かれたように次々とクリックしているうちに、またたく間に八時になった。  約束の時間ぴったりにやってきたウカは、まだ制服を着ていて、俺が何か聞く前に「カズイとヨージがしつこくて、家に帰れなかった」と言う。  そしてウカは、靴も脱がずに玄関で立ちつくした。飾ってある家族写真を子細に眺める。それはうちに来た時の儀式だった。  シルバーのフォトフレームの中では、小四の俺と小六の兄、そして両親が、グアムのホテルのプールサイドで笑っている。     
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