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 10、9、8……。頭ん中で数字を逆から数える。まるで神様にお祈りするみたい。  昨日アンナと別れてから、頭痛がずっとしていた。やみくもに振り回したアンナの手にひっかかれ、目の横の皮膚がひりひりする。そんな最悪なコンディションだというのに、学校に着くと真っ先に、ウカがまとわりついてきやがった。  まったく、そういう時のある種の勘の良さ―― たぶんウカは、俺に対して全方位的にアンテナを張りめぐらしていて、どうすれば俺が嫌な気分になるか、どこに地雷があって、どんな風にそれを踏めば俺をムカつかせるか全部知っている ――マジ、閉口する。 「キョウちゃん、おはよー。今日は朝から来たんだ。めずらしー」  俺は、ウカの声の中に、変な華やぎがあるのを見つけてしまう。でもそれをガン無視して、ロッカーの前で靴を上履きに履き替えた。  上履きは、随分前からかかとが履きつぶれボロボロ。  だせえ。  新しいものにかえようと思っているのに、きたねーのを見ると、全体的に萎える。そしてやる気をなくして、ボロいのをそのまま履き続ける。     
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